turkey-day 2 スルタンアフメット・ジャーミィ/アヤソフィア/スレイマニェ・ジャーミィ

メルハバ! イスタンブール

早朝、5時頃にアタテュルク国際空港に到着。

(イスタンブール近くになってようやくわたしの座席のモニターは復活した)

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宿にピックアップをお願いしていたため、空港で青年がわたし達を待っててくれていた。てっきり彼が宿の人なのかと思ったが、彼は到着ゲート〜タクシー乗り場の間だけの担当らしい。

車が来るまで世間話をし、彼が今22歳で(海外ではよくあることだが、22歳にはとても見えない)もうすぐドイツ語の先生になること、サムスンという黒海地方の町に住んでいることなどを聞いた。

 

宿の車は旧市街への道をひた走る。窓の外にマルマラ海が見え、鳥の群れが飛んでいき、そしてああ、モスクが見える!!!

わたしはこの時点でもう泣いた。

 

 

 

旧市街のスルタンアフメットモスクの裏手のあたりにあるこじんまりとした小さなホテルに着いた。あたりを猫や犬がうろうろしている。

朝ご飯は既に機内で食べていたためパスしようとしたが、ホテルの人の陽気さと、テラスで食べるという文句につられてついうっかり食べてしまった。おいしい。

 

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テラスから、すぐそこに海が見える。かもめも飛んでいる。

 

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テーブルの周りをかわいい猫がうろうろしていた。猫はトルコのどこに行ってもすごく多い。預言者ムハンマドが猫を可愛がったため、イスラム圏では猫は愛されている……とどこかで聞いた気がするが、少なくともホテルの人には邪険に追い払われていた。

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スルタン・アフメット・ジャーミィ

まだこの時点で朝の8時くらいだけれど、陽射しは非常に強い。

まず、なんと言ってもイスタンブールの顔、ホテルからすぐ近くにあるスルタン・アフメット・ジャーミィ(いわゆるブルーモスク)に行く。

 

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既にヨーロッパ系の団体さんがたくさんいて、「ああトルコはヨーロッパとは地続きなのだ」ということを強く認識する。

彼らに紛れて中に入る。もちろん入り口でヒジャブをかぶらないといけない。無料で貸してくれるが、わたしは日よけ用に大判の布を持ってきていたので(わたしは日光アレルギーなのだ)、ここに限らず旅行中はいつでもその布をかぶっていた。余談だが大判布は1枚あると日よけにもなれば寒さ凌ぎにもなるので、旅にはおすすめの持ち物だ。

 

 

スルタンアフメットジャーミーは、オスマン帝国の14代目のスルタン・アフメト1世によって17世紀初頭に建造された。設計したのはオスマン帝国史上最高の大建築家であるミマール・シナンの弟子、メフメト・アーである。

6本のミナレット(尖塔)と巨大な大ドームを持ち、……とにかく写真を見てほしい。凄すぎて言葉にならない。壮麗、巨大な空間だけれども、その細部にまで恐るべき緻密さで装飾が施されている。

ぽかんと口を開けて天井を見上げ、人混みの中をぐるぐると歩き回った。これがわたしにとって初めての「モスク体験」で、正直に言ってその感想を言葉にできるほど、頭を整理できなかった。ただただ衝撃だったのである。

 

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これはこの旅で夫が撮った写真の中でも特に気に入っている。スルタンアフメットジャーミーを掃除機で掃除するおじさんの姿である。(このスペースに旅行者が入ることはできない。ムスリムの人が礼拝をするためのスペースである。)

 

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アヤ・ソフィア方面から撮ったスルタンアフメットジャーミー。

 

 

アヤ・ソフィア

次に訪れたのはアヤ・ソフィア。

アヤ・ソフィアはスルタンアフメットジャーミーのすぐ向かい、くらいの距離にあるのだが、この辺りはとにかく客引きが多く鬱陶しい。

明らかな客引きから、「写真撮ってあげる」〜からの〜「日本に親戚がいて自分もいったことある」〜からの〜「絨毯とか見ない?」パターンまで。

なんとかつれなくあしらいつつ、強い日差しの中をアヤ・ソフィアに移動する。

 

アヤ・ソフィアは360年、ローマ帝国によってキリスト教の大聖堂として建造されたが、その後二度消失・崩落し、現在の姿はユスティニアヌス帝が6世紀に再建造したものである。

そして1453年、オスマン帝国・メフメト2世によるコンスタンティノープル(ビザンツ帝国時代のイスタンブールの呼び名)陥落により、アヤ・ソフィアはイスラム教のモスクとして転用されることになる。

このため内部に描かれたモザイク画は漆喰によって塗りつぶされ、ミナレットが立ち、ミフラーブ(メッカの方向を指し示すもの)が置かれ、……とイスラム仕様になったアヤ・ソフィアだったが、オスマン帝国が滅亡してトルコ共和国になると、初代大統領アタテュルクの命により、モスクではなく博物館として存在することになった。漆喰なども取り払われ、現在の世界遺産としての姿があるのである。

 

さて、アヤ・ソフィアだが、既に昼前になっていたため長蛇の列で、並んでいる間にやや体力を消耗した。どうでもいいことだが、入り口で夫がカメラの三脚を没収され、返してもらえないのかと一瞬冷やっとした(ちゃんと出口で返してもらえる)。

中に入ると、一部工事中だった。しかし、それにしてもものすごい存在感だ。重厚、と言えばいいのだろうか。巨大な黄金色のドームはまるで天そのものが降り注いでくるような圧迫感がある。

そのドームには聖母マリアやセラフィム(天使)が描かれ、同時にアラビア文字によるアッラーヘの賛美が共存している。

2つの異なる宗教とその歴史が1つの建造物内に相俟って、混沌とした重い空気感があった。

 

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キョフテが美味しい

アヤ・ソフィアの後はお昼ご飯にした。いわゆるド観光地で、ガイドブックにも載っている有名店らしき店に入ったため、味はほとんど期待していなかった。

 

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……が、めちゃくちゃ美味しい!!!! ものすごく美味しくて、結局この店には旅行中もう一度戻ってくることになる。

スルタン・アフメット・キョフテジシというキョフテ(トルコ風ミニハンバーグまたはつくねのようなもの)の店で、メニューは3〜4つ位しか無いのだけれど、豆のスープも、キョフテも、キョフテの付け合わせのチリも本当に美味しかった。キョフテはプリプリの触感だし、スパイスが効いていて本当に美味しい。思い出しながら興奮して、3回も美味しいと書いてしまった。

 

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その後大変楽しみにしていたトルコ・イスラーム美術館に行ったのだが、なんとまだ工事中だった。諦めきれずに周囲をうろうろしたが、どう見ても工事中。半分くらい泣きそうだった。工事中のトルコ・イスラーム美術館と佇む猫の写真をご覧ください……。

 

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静寂のスレイマニエ・ジャーミィ

気を無理矢理取り直して、グランド・バザールとその近くにあるスレイマニエ・ジャーミィを目指す。

しかしトラム(T1線)に載るのに方法が分からず一苦労。本当は「イスタンブールカード」なるお得な周遊カードが欲しいのだけれど、どれがそれなのかよく分からない。

加えて、券売機らしきものの前でちょっとでも分からなそうな振りをしていると子供が群がってくる(そして教えるかわりにチップを貰おうとする)ので、焦ってジェトンというコインを買ってしまったが、これが1回4TL(トルコリラ)もする全然お得でない代物である。さらにわたしのミスで反対方面に乗ってしまい、戻る羽目になってしまった。

 

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これがジェトン(と夫の財布)。

 

それでもなんとかグランド・バザールに辿りついた。これが入り口の一つだ。

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狭いアーケード街の中にびっしりと小さな、そしてエキゾチックな店が並ぶのはわくわくする……すごくわくわくするし色々見たかったのだが、暑さのために既にわたしは弱ってきていた。

その上大抵の店は値札がなく、ちらりと見ようものならつたない日本語で話しかけられるため、どんどん疲弊した。わたしは日本でも買い物は苦手だし、店員も苦手なのだ。

 

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割と買い物が好きな夫には申し訳なかったが、グランド・バザールは早々に出て、道端で手絞りザクロジュースを飲む。すごく酸っぱい、けれど美味しい。

 

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疲れが取れないため、暑さをしのげる場所を探してカフェのようなところに入るも、クーラーが壊れているらしく崩れ落ちそうになった。そして冷たい飲みものはあまり冷えておらず、氷も入っていない。

この氷だが、結局トルコでは氷の入った飲み物に出合うことは一度もなかった。どうやら世界的に見ても日本の「氷を入れる」文化の方が珍しいようだ。しかしわたしは氷大好き人間なので、もしかしたらトルコ旅行中一番辛かったのは氷でキンキンに冷えた飲み物が無かったこと、かもしれない。

 

 

少し休んで、坂を上りながらスレイマニエ・ジャーミィに向かう。

今回のトルコ旅行ではいくつか「絶対に行きたいモスク」があったのだが、このスレイマニエ・ジャーミィはその一つだ。なんと言ってもスレイマン1世(オスマン帝国最盛期の皇帝)が、帝国史上最高の建築家シナンに命じて作らせたものである。

さらにここにはスレイマン大帝自身、その妻ヒュッレム(ロクセラーナ)も眠っているだけでなく、設計者シナン自身の墓もあるというのだ。

……しかし残念なことに、シナンの墓はどこにあるのか見つけられなかった。何人かの人に尋ねたのだが、分からないと言われてしまった。しょんぼりしたが、仕方がない。

 

モスクの内部は、スルタンアフメットジャーミーほど人で混雑していない。もちろん観光客の姿はあるが、同時に地元の人が祈っている姿も数多く見られた(スルタンアフメットジャーミーでももちろん地元の人は見かけた)。

モスクは自由なところがいいな、とこのスレイマニエ・ジャーミィで思う。絨毯というところが、いわゆるキリスト教教会の「床+椅子」の組み合せよりも、ゆるっとしている気がする。畳の感覚に近いかもしれない。

その絨毯のうえに、思い思いに座るもよし、子供はかけまわったりしている。それもまた許容されているようなのだ。かしこまる必要は、ない。

 

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ランプはどこのモスクでもかわいい。

 

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こういう細かいところの装飾、色の組み合せもものすごく好きだ。わたしが言うのはあまりにもおこがましいのだが、とにかくシナンの作ったものは「極めてセンスがいい」と思う。時代を何百年も超えてなお、平然と美しいのだ。決して古くさくない。

 

このスレイマニエ・ジャーミィは内部も美しかったのだが、その中庭が壮絶に印象に残ってしまったため、実は今はもう内部のことは写真でしか思い出せない。それくらい、中庭が美しかった。

夫が内部の写真を撮っている間、わたしはずっと中庭に腰掛けていたのだ。

青い空が四角く切り取られ、真っ白な空間に光と影が色濃く落ち、風が静かに通り抜けていく。静謐な空間だった。

溶けていくような感覚、無に近づいていくような感覚があまりにも心地よくて、永遠に座っていたいとさえ思った。

これが500年ほど前に作られたとは思えないほどの、完全な美しさ、優しさのある空間だった。この旅行で一、二を争う印象深さだったように思う。写真では伝わらないのが、悔しい。

 

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イスタンブールカードとSIMカードを求めて

この後、旧市街から新市街へ行くために地下鉄に乗ろうとするも、ガイドブックに駅が載っていないのに街には看板がある……という状況で困惑する(結論から言うと、最近できた新しい駅だったようだ)。なんとか駅を見つけて駅員さんに尋ねるも、やはりイスタンブールカードは売っていない。

駅員さん曰く「バス停に売っている」とのこと、再度地上に戻り、バス停を探す。が、バス停にもそれらしきものはない。仕方なく、一度「まさかここじゃないよね」と言いつつ一度通り過ぎた掘っ建て小屋(言葉が悪くて申し訳ないが、よく言ってプレハブ小屋である)のおじさんに駄目元で聞くと、なんとおじさんがイスタンブールカードを売っていた!!!!

私と夫は大笑い、俄然元気になった。まるでゲームをやってて、あり得ないところから宝のアイテムが出てきたようなシチュエーションだった(このどうでもいいエピソードを書いているのは、ひとえに『イスタンブールカードは掘っ建て小屋に売っていることがある』ということを読者の方に伝えたいからである)。しかし、この掘っ建て小屋を写真に撮り忘れてしまったのは残念だ。

 

※ちなみに、イスタンブールカードは2人で1枚を利用することができる。一人目がまずタッチしてゲートをくぐり、後ろの二人目にカードを手渡せばまた二人目がタッチして入場することができる。最初はこんなことしていいの!? とドキドキしたが、何の問題もない。

 

イスタンブールカードを手に入れればもうわたし達は最強だ。新市街、タクシムまで電車で一本。

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タクシムで夫がSIMカードを手に入れ(夫は海外でSIMカードを手に入れるのが得意)、さらに装備のレベルが上がった感がある。Google mapも見れるし、文明開化で無敵になった気分だ。

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タクシムから、ノスタルジック・トラムに乗る。この地上を走るトラムは名前通り、レトロな外観の電車で、新市街の大通りをゆっくり進む。新市街は旧市街と比べてとにかく現代っぽくなっている。東京の普通の都心部と大差ないような栄え方だ。

トラムの写真を撮ろうとしたら、なぜかこの赤いおじさんが入ってきた。トラムと見事にカラーリングが合っているけれど、わざとなのだろうか。地元の人なのか、観光客なのかもよく分からない。

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ガラタ塔の夕景

トラムの終点から、イスタンブールの観光スポット「ガラタ塔」へと歩く。夕景が綺麗に見えるとのことだが、当然ながらそういう場所には観光客が殺到しており、信じられないくらい並んでいた。足はもう棒のようであったが、なんとか登れて、夕陽も見れたし、なんと言っても金角湾を見渡せて感激だった。

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ガラタ塔から降りた頃にはすっかり暗くなっていた。旧市街の方をのぞむと、スルタンアフメットジャーミーが見える。

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T1線カラキョイ駅からスルタンアフメット周辺に戻ってきて、ロカンタ(食堂)で夕飯を食べる。

しかしうっかりミックスケバブなるものを頼んでしまって、とんでもない量が出てきた。夫はそんなに食べないし、わたしも昔ほどは食べれない。今後ミックスケバブには気をつけよう、と心に誓う。

 

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また、ここでトルコ名物アイラン(塩味のヨーグルトドリンク)にチャレンジ。わたしは好みだったが、夫は苦手なようだった。

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食べきれなかった分はtake awayにしてもらって、ようやく宿に帰ってきた。ひどく長い一日だった気がするし、たぶん気のせいではない。

この日撮った写真を見ながら、すぐに眠りについてしまった。

 

 

 

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