昨日あった天地創造(アイスランド1日目)

この日は朝の7時すぎに家を出て、ツアーに参加する。

強く主張したいのだけれど、たぶんアイスランドでは「レンタカーを借りて、好きなように走りまくる」のが一番良いと思う。国道1号を走っていれば島を一周できるし。

でも、残念ながら我らは免許を持っていなかったので、仕方なくバス・ツアーに参加することにしたのだ。

 

 

その前に腹ごしらえをしないといけない。

家のすぐ目の前の小さなショップは早朝過ぎて開いていなかった。

仕方なく5分強歩いた先にある10-11という24時間営業のコンビニエンスストアのようなところに足を伸ばし、何もかもが高いことに打ちひしがれながら買い物をした。

旅先で自炊するときの定番となりつつある、ベーグル。

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早速スキールを買って食べた。アイスランド名物の濃厚なヨーグルトで、なかなか美味しい。

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バスに乗って、レイキャヴィクを出て少し走っただけでもうこの景色。

小雨と霧に煙る大地に、太いパイプラインがずっと走っている。

「温泉を運ぶパイプよ」ガイドさんが説明する。

パイプは明らかに人工物で、異物としてそこに在る。だだっ広い地面の上に、細々と、延々と。

ああ、アイスランドに来たのだ、とわたしは思った。

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ネーシャヴェリトル地熱発電所の付近。

アイスランドは寒い国だが、地面の下に限ってはとてつもなく熱い国である。その熱が、目に見える。

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見事な虹まで見てしまった。

虹もさることながら、その下に広がる平原の、何もなさ、その美しさよ。

バスを飛び降りて、走って行きたいくらいの気持ちだった。

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バスはシンクヴェトリル国立公園に向かう。

アイスランドは海嶺が地表に乗り上げている世界でもめずらしい場所で、今でもユーラシアプレートと北アメリカプレートに引っ張られて東西に広がり続けている。

そのプレートの割れ目『ギャウ』を見ることができるのが、この国立公園。

世界最初の民主議会『アルシング』が開かれた平原でもあるし、なんだかもうこれ以上ないくらいロマンチックなところだ。

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割れ目の間を歩いたりもした。

 

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次の目的地、グトルフォスの滝の近くでお昼ごはん。

これはガイドさんおすすめ、ラムのスープ。確かにとても美味しい。欧米諸国にありがちなパターンで、無料でパンがつく。

アイスランドに来てはじめてのまともな食事だったが、とても美味しくて一気にアイスランド人の味覚への信頼感が生まれた。

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そしてグトルフォスの滝を見る。この時点で雨かと思うほど水しぶきが降り注ぐ。

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写真だと伝わらかもしれないが、この滝、ものすごく、ものすごく大きい。

そして平らな大地に突然滝が出現するので、一瞬戸惑う。

平らな大地に、というのは正確ではないかもしれないが、要はわたしは日本の「山の中にある滝」を見慣れているので、違和感があるのだ。

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さらに去来する感情があり、わたしはそれを表す言葉を探した。

(この滝は、昨日できたみたいだ)

そう、滝に限らず、アイスランドの自然は全てそうなのだ。

大地も、滝も、小川も、池も。

まるでつい昨日神様の天地創造があって、出来たてであるかのように見える。

 

新しい、とか輝いている、とかそういうことではなくて。

むしろ、古い。とてつもなく古く、何千万年もの時を重ねているように感じられる。だが、同時にその何千万年前と何ら変わらぬ姿のようにも思えるのだ。

その矛盾の、厳かなこと。

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ゲイシール間欠泉。

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この吹き上げの瞬間を狙ってみんな待っている。

わたしはどんなに冷静な心でカメラを構えていても、吹き上げる瞬間に絶対ビクッとしてしまって撮影に失敗するので、だんだん可笑しくなってしまってずっと笑っていた。

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ミニ間欠泉はずっとぽこぽこしていてかわいい。かわいいが、お湯は100度近くあるので触ってはいけない。

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アイスランドらしい色の植物だと思った。

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馬鹿みたいなことを言うけれど、大地がめちゃめちゃに広いのだ。人間なんてほとんどいないに等しく思える。

(アイスランドより少し小さい北海道はの人口密度は64.5人/km²で、アイスランドは3人/km²だ。)

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その僅かな人間のお墓が教会の裏にあった。

わたしは芝生の上に座り込みながら、ここに眠れたら気持ちよかろう、と思った。

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黄色い花がとても綺麗だし。

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この、溶岩にもこもこの苔がはえているタイプの石が大好きだ。

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レイキャヴィクに向かう、帰路のバスの中でも車窓の景色にかじりつきながら、ふと、ある漫画の一コマを思い出した。

「風の谷のナウシカ」(漫画版)の6巻で、腐海の尽きるところに生まれ始めた新しい草木のある地に、業にまみれていた皇弟ミラルパが浄化され幸せそうに消えていく、

あのできたばかりの地の情景が重なるのだ、アイスランドの大地に。

まぁわたしが宮崎駿信者だからそんな風に思うのだろうし、だからどうだという話でもないのだけれど。なんだか、頭から離れなくてね。

 

 

 

レイキャヴィクには猫がとっても多い。

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このふかふかのゴージャスな毛並みの猫とはこの後数回会うことになった。

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家の本当にすぐ近くが港で、港沿いにたくさんレストランがある。

そのうちの一軒、Forrettabarinnというビストロっぽい雰囲気のお店で夕ご飯を食べた。

これはロブスター、というか手長エビのスープ。スープはどこにでもあって、どこでも美味しい。

(ちなみにレストランのサービスは全体的に親切で丁寧だと思う)

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家に帰って、温泉風呂に入って(幸せ!)、おやすみなさい。

明日は計14時間という長いバス・ツアーが待っている。