turkey-day 3 セリミエ・ジャーミィ

イスタンブールからエディルネへ、日帰りの旅

初日、一瞬布を被っていなかった間に日光アレルギーにやられてしまった。案の定ひどく湿疹がでてしまったので、もう絶対に手放さないと誓う。

 

この日は、セリミエ・ジャーミィを見に、エディルネへ日帰りの旅だ。

エディルネ、というと聞き慣れないかもしれないが、「ハドリアノポリス」とか「アドリアノープル」と言ったらなんとなく耳に覚えのある方もいるのではないだろうか。全て現、エディルネのことである。

エディルネはトルコのトルコの最西端、ヨーロッパ側の国境地帯にある。ギリシャ、ブルガリアはもうすぐそこだ。

イスタンブールから行くには片道直線距離で210kmほど、少し遠いが、なんとか日帰りでスケジュールを組んだ。なぜなら前述したセリミエ・ジャーミィを絶対に見たかったからである。

セリミエ・ジャーミィはシナン最高傑作としてあまりにも名高い。

 

シナンについては、以下の本が読みやすい。夢枕獏氏による「シナン」は、文字通りシナンを主人公とした小説で、当然想像上の要素も含んでいるとはいえ、とても面白い。

 

 

あとはこちらもシナン建築がたくさんのっているのでおすすめ。写真・図版が多い本はいい本……。

 

オトガルで長距離バスに乗る

さて、エディルネに向かう。ルートとしては、イスタンブールのエセンレル・オトガル(オトガルはトルコ語でバスターミナル)〜長距離バスでエディルネのオトガル〜エディルネのオトガルから街の中心までサービス・バス(セルヴィス)、という順だ。

イスタンブールカードを手に入れたので、エセンレル・オトガルまではスムーズだ。

オトガルに着くと、事前に聞いていたとは言えその大きさに驚く。(この写真にはオトガルの1/6くらいしか写っていない)

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あまりにも多くのバス会社が並んでいるのでどこに行ったらいいのか分からず、適当に入ったところで聞いたりしつつなんとかチケットを買ったが、英語が通じなくてなかなか苦労した。こちらが片言のトルコ語を繰り出すも、向こうのトルコ語が聞き取れなければ意味がない。買ったチケットに書かれた「PERON116」 が何を意味するのかさっぱり分からなかったが、PERONはバスターミナルにおけるバス停ナンバーのことだとなんとか理解し、最終的には目的のバスに乗れた。

写真はPERON116でバスを待つ人々。

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記念すべきトルコでの初長距離バス、最初の会社はMETROという超大手のバス会社。 聞いてはいたが、バスはとても快適。充電できるし、お菓子や水が貰える。足元も広い。

 

シナンのセリミエ・ジャーミィ

3時間ほどかかって、エディルネのオトガルに着いた。ここからは「セルヴィス」という無料のバスに乗って街中に行くらしい。

しかし、最初はどれが「セルヴィス」なのかさっぱり分からなかった。その辺にたむろしていたおじさんに聞いてみてなんとか乗ることができたが、これは小さな乗り合いミニバンであった。狭い空間に人が多すぎるうえにクーラーもなくめちゃくちゃ蒸し暑い。途中でエンストまでした。しかし座るところのなかったわたしを、おじさんが席をつめて座らせてくれるなども含めて、いかにもアジアという感じがした。

 

これがセルヴィス。

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遠くに見えるのがセリミエ・ジャーミィでは!! と否が応でもテンションが上がる。

ちなみに写真左に見える像は「ヤールギュレシ(オイルレスリング)」をしている像。エディルネでは毎年オイルレスリングの全国大会が行われる、言わばオイルレスリングの聖地なのだ。

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なんとかセリミエ・ジャーミィの近くで降りることができた。

美しすぎるドームをご覧ください。

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外壁の時点で興奮が抑えられない。

 

 

セリミエ・ジャーミィにはショッピングアーケードがくっついており、今でも現役で使われているのだが、それは帰りに堪能することとしてモスクに急ぐ。

 

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どうやら横から入ってしまったようで、以下の写真は横からのアングルだが……凄かった。

 

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この凄まじさをなんと表現したら良いのか分からない。とにかく、存在そのものがすごく、すごく強かった。ものすごく完全に近い、美しさのように思えた。

わたしはその衝撃に泣きながら、惚けたようにモスクを見上げ続けた。しばらく、時が止まっているような感覚があった。

 

中も凄かった。繊細で優しく、暖かく、美しい。

 

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わたしは絨毯に座り込み、子供が走り回ったり、ムスリムの人々がお祈りのポーズで記念撮影をしたり、思い思いに過ごしているのをぼーっと眺めていた。

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見て、この絨毯の柄のかわいいこと。これはミフラーブと同じ方向、つまりメッカを射している。

 

親がカトリックの信者だったため、幼い頃からキリスト教の教会には何度となく足を運んでいるが、わたしの印象ではキリスト教の教会は「神に向かっていく」という感じがある。

神に向かって祈りを捧げるための、装置。

それはイスラームの変わらないのだと思うが、この旅で何度もモスクに入って、なぜだか「神を捉えるための装置」という印象を受けた。なんとかして神を、迎えるための装置。

日本の神道における装置も、「神を迎える・捉える」に近いと思うが 、それとはまた違った形の……この話はまたにしよう。

とにかく、このシナンのセリミエ・ジャーミィはそれを強く感じた場所だった。

 

ムスリムの人々はここで記念撮影をしたりしているが、その時に皆お祈りのポーズのようなものをとっている。なんだか素敵だ。

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この柱には、とある伝説にまつわる逆さチューリップが掘られている。

このセリミエ・ジャーミィの建っている丘はその昔チューリップ畑だったが、土地所有者をなんとかシナンが説得した末に、ようやくモスク建設が可能となったらしい。

そのことに敬意を表して刻まれたのが、逆さチューリップ……という伝説だ。

観光客もみな知っているのか、逆さチューリップを見たり、触ったりしていた。このおじいさんは地元の方だろうか、ずいぶん長いことこうしていらっしゃった。

 

中庭もとても良かった。モスクの中庭というのはどこもこう、落ち着くものだろうか。

前述のショッピングアーケードで飴を買って、帰路につく。まずオトガルまで戻るのに、セルヴィスがいつ来るのか分からなかったため、タクシーを捕まえた。

(タクシーを捕まえる前に、なぜか地元の女の子に写真を撮られた。エディルネではアジア人は珍しいのかもしれない。実際全く見かけなかった。)

 

チャイにはまる

オトガルで帰りの長距離バスを待っている間、チャイを飲む。ここで初チャイだ。

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そしてオトガルの裏でニワトリや謎の鳥が飼育されていること、その横で卵を売っていることを発見する。(写真中央下部にニワトリがいる)

なぜか一匹だけオトガル内を闊歩している奴もいた。

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広い土地を眺めながら、バスで貰えたレモンジュースを飲みながら、イスタンブールまで3時間。

とにかく暑いからなのか、レモンジュースはマストアイテム、という位に体がレモンジュースあるいはレモンティーの類いを欲する。

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イスタンブールに到着。すっかり夜だ。

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適当なシーフードレストランでご飯を食べる。

昨日の二の舞にならないよう、少しずつ頼んだつもりだったが、1本だけ頼んだ茄子ケバブが異様に大きい、かつ付け合わせたっぷりでまたまた胃が死ぬ羽目に。ケバブはもういい……。

 

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チャイは飲みたい。日本じゃ紅茶はあまり飲まなかったけど、なぜかトルコではチャイが飲みたい気分に。郷に入っては郷に従う素直な体だ。単純とも言う。

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絨毯なんて絶対買いたい気分にならない、ってトルコに行く前は思っていたけれど、絨毯を舐めてた。全然欲しい。だがさすがにこんなド観光地では絶対に入らない。

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猫のたくさんいる細い裏道を通って宿に帰って、就寝。今日も一日とても良い日でとても疲れたし、既に頭も体も、新しい情報の刺激の渦についていけていない。

 

 

 

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